2008-12-14

「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た

「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た (単行本)
村上 宣寛 (著)
日経BP社 (2005/3/30)

血液型性格診断から、あの有名なロールシャッハテストや内田クレペリンテストまで、小泉首相よろしく、心理テストをぶっ壊した本。

心理テストって、ちょっと疎かった。もちろん、テスト理論とか、実験計画の初歩は、一応、知っている。質問項目の信頼性とか、テストの妥当性とか も、概念としては知っている。だけど、個々のテスト、例えばロールシャッハテストの内容は、全然、知らなかった。そもそも、心理テスト自体、なんか怪しい 雰囲気があると思っていた。だって、本屋に並んでる一般向けの心理テスト本、ありゃ、かなりやばいでしょう。で、この本を読んでみた。やっぱり怪しかっ た。というより、臨床心理系のテストに、怪しいのがある(ってか、みなあやしい?)って言う事だった。

心理臨床の人たちが、この本に、どういう反応するか分らない。そもそも、著者の批判が、どの位当たってるのか、イマイ見当つかない。でも、ロール シャッハ研究者が行ったBlindテストの内容(p.94)や、尺度自体の妥当性や信頼性が低い(p.118)と言う主張を見ると、著者の批判が、あなが ち的外れとも思えない。その後、エクスナによって、色々と改良された尺度も作られたらしい。けど、それも、学会で、コンセンサスが得られるとも、言い難い ようだ。尺度の信頼性や妥当性が確定していない時点で、診断される患者さんは、たまったもんじゃないよな~

ただ、注意すべきなのは、「心理テストが悪い」でなくて、「当たらない心理テスト」が悪いってことだ。インクのシミを見ても、抑うつや分裂病が上 手く予測できれば、それでよい。「インクのシミで、自分の精神を判断されたらたまらない!」って言うのは、的外れだろう。(とはいっても、たまったもん じゃないんだろうけどさ)ぜひ、心理臨床家に、反論本を書いて欲しい。黙殺なんて、せこい事をせずに、堂々と批判しあえば、もっと面白い展開になるはず。 臨床心理士自ら、「経験」「現場」に引きこもってる場合じゃあないはず。

あと、心理テストですら怪しいなら、市場調査のアンケートなんて、単なるゴミを集めてるだけかもしれない。最近、そんな気がしてる。関係者、すまん。

0 件のコメント:

コメントを投稿