2018-01-26

問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」



問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」
ダイヤモンド社(2001)
齋藤 嘉則  



正月によんだ問題解決プロフェッショナルの発見編

ある問題を解決したい場合、人々は解決するためのツールを探そうとする。がしかし、ツールを頑張って探し、工夫して使っても、問題が解決しない場合がある。それはなぜか?問題の捉え方が悪いからだ。問題のとらえ方を間違えると、問題解決のツール選定も同時に間違える。いわゆる筋悪の問題設定というやつだ。というわけで、この本は、どうやって問題をとらえるべきか?、つまり、問題発見プロセスのノウハウについて書いてある。その意味で、この本は、問題解決プロフェッショナルのさらに上位に位置する本だ。

問題発見で大事なことは、前提を疑うことだ。目の前の業務は、なぜ、この手順なのか?一つ一つの手順の意味を問い直す必要がある。それを著者は、問題発見の4P(Purpose・Position・Perspective・Period)と呼んでいる。初めに、4Pで目の前の問題を再認識し、さらに4P間の関係を再構築する。それおこそが、あるべき姿だ。あとは、あるべき姿に向けて目の前の業務を具体的に変革すればよい。この、現状を正しく認識し、描いたあるべき姿と現状とのギャップが問題発見そのものである。

書いてあることはもっともなことであり、解決編と同様に、さらりと読める。しかし、なんとなく理解できることと、実際に行動できることとの間には、大きなギャップがあり、それが、市井のしがないサラリーマンと、かの有名なマッキンゼーのコンサルとの違いでもある。そして、この本に書いてあるようなことを、コンサルの営業先で、自分の実体験に基づき、その会社の問題に引き寄せて、滔々と、しかし、さらりと話すことができたら、それはそれはたくさんの注文が取れるはずである。

気になったのは、あるべき姿を構想するということだ。正直なところ、経営戦略やマーケティングという分野は、それなりに定型化=あるべき姿がすすんでいる。物流や経理も、学者が調べたことがたくさんある。ということで、わざわざ自分でゼロから考えるよりも、単純に、学者の理論を、目の前の改善したい業務に当てはめる方が簡単なような気がした。がしかし、たとえそうだとしても、他人の気持ちになり(Position)、目の前の物事を時間軸と視野(Period・Perspective)広く、あらためて本質を考え直す(Purpose)ことは、手あかにまみれたサラリーマンだけでなく、全ての人の全ての人生の場面で、とっても大事なことなはずなのでございます。

2018-01-21

モテキ

モテキ(2011) 東宝



さえない30男が、ある日突然、美女からモテるようになって当惑するラブコメディー

女性向けの'シンデレラストーリー'の映画やドラマはたくさんあるけど、というか、ほとんどがそうだけど、男性版の'シンデレラストーリー'は、滅多にお目にかからないように思う。モテキは、簡単に言ってしまえば、男性版シンデレラストーリーだ

女性版シンデレラストーリーは、わかりやすい。例えば、見た目も生活も地味な派遣OLが、ある日突然、3K(高収入・高学歴・高身長)を絵にかいたような男性に見初められる。自信がない自分を、地位も名誉も金もある男が、自分の中に隠されていた美貌や才能を引き出し、美しく才能豊かな女性に成長していく、といったパターンだ。

モテキの主人公の幸世は、30にもなるのに、出版社の派遣フリーライターの上に、仕事もできない。その上、部屋は汚いわ、仕事場でも、童貞童貞と言ってバカにされている、何のとりえもない男。がしかし、なんだか知らないけど、ある日突然モテるようになるのは、まさに男性版シンデレラストーリーそのものだ。だけど、この映画が女性版と違うところがあるとすれば、主人公の幸世は、最後まで、さえないバカな男というところだ。劇中を通して、仕事上でも人間としても、なんら成長がないグダグダ感満載の幸世だが、最後の最後で、いったんフラれたはずのヒロインの長澤まさみと結ばれてしまう。女性は、男性のサポートで、自分の成長を願い、男性は、女性が、ダメな自分をそのまま愛してくれることを望んでいる、とも読める。

劇中を通して、長澤まさみは、驚異的な可愛さがあった。見た目はもちろんのこと、愛嬌の良さ、気立ての良さ、尻の軽さは、男性を引きつけてやまないと思われる。音楽も良かった。ただ、今聞くと、何となく時代を感じる選曲でもある。

男性に自己肯定感と女性に対する自信を与えてくれる映画