2017-12-30

Sex and the City

セックス・アンド・ザ・シティ・ザ・ムービー
Warner Bros(2008)

セックス・アンド・ザ・シティ・ザ・ムービー[SEX AND THE CITY THE MOVIE]STANDARD EDITION [DVD]

女の欲望(金・美・男)を、ファッションとニューヨークでオブラートに包んだ物語。

一番初めに、Sex and the Cityを見たのは、たぶん98年か99年の頃だったと思う。当時のWOWWOWは、土曜の深夜帯(12時以降)に、海外のソフトにエロい映画やドラマを流していた。当時、家族が寝静まった土曜の夜、こっそりとソフトにエロい映画を見るのを楽しみにしていたのだが、その時間帯に放送されたのが、Sex and the Cityだ。

題名を見て、これもエロい、当時の私はそう考えたはず。がしかし、期待を膨らませて見始めたものの、セックスシーンはおろか、女性の裸すらほとんど流れない。それでもいつかエロいシーンが流れるはずと思って、毎週見ているうちに、ストーリーそのものにはまった。

このドラマは、たぶんアラフォーだけど、経済的に自立して、かつ女性的な美しさを保っている4人の生活を、金・男・ファッションを軸にしてコミカルに描いている。今風に言えば、キラキラ女子(ババア)の恋愛模様だ。

たぶん、女性がみて楽しいドラマだ。主役のキャリーは、有名雑誌のライターとして成功し、自分で稼いだ金でオシャレな洋服を身にまとい、豪華な食事に舌鼓をうち、金持ちの男から愛される(ビッグ)。日本のドラマでもよくあるパターンで、ヒロインは、大体、雑誌社のライターや編集者、もちろん仕事がデキル女でありながら美しく、金持ちのイケメンに愛される・・・

正直、これを見て楽しいと思う女性に引いてしまう。そもそも、大金持ちでイケメンのビッグが、アラフォーのキャリーを彼女にする理由がわからない。世の女性は、ビックに

「若い女は薄っぺらくて面白くないんだよ。女性は、やはり知的で社会経験が豊富でないとね」

などと囁いてほしいのだろう。がしかし、そんなことをいう男はいない。ビッグが40代半ばならば、20代中盤~後半で、物わかりのよくて、見かけが良い女を彼女にするはず。キャリーが選ばれるとしたら、ビッグが50代後半以降の場合だけだ。

他のキャラクターも、正直なところイタイ。サマンサもミランダも、男勝りの金と経歴を持っていて、自分よりも若い・程度の低い男を振り回すというのも、ある種の女性の支配欲である。シャーロットは、お嬢様育ちで、それは、ある種の女性の憧れそのものだ。

でも、それでも何となく見てしまうのは、女性が憧れる女性でさえも、それがゆえに失敗を繰り返す人間的なところが面白と思ったからだった。ビックになかなか振り向いてもらえないキャリー、男勝りなミランダとサマンサ、シャーロットは、お嬢様だけど、世間体がいろいろあって生きにくそうだ。

むかしたまごっちの開発者の人が、ペットをかわいがる理由は、ペットは世話がめんどくさいからだ、といっていた。つまり、扱いが面倒なところがあるからこそ、より愛情は深くなるのだ。Sex and the City は、女性があこがれる女性の成功だけでなく失敗もきちんと描き、憧れとやっかみのバランスがすぐれていた。そして、それこそが、このドラマの人気の秘訣だったのではないでしょうか。

2017-12-28

新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術



新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術 
齋藤 嘉則 ダイヤモンド社


元マッキンゼーのコンサルが、会社でおこる問題を解決する方法についてまとめた本

ほとんど読まないけど、たまに元戦コンといわれる人たちの、いわゆる業務ノウハウ本的なものを読む時がある。で、彼らの本を読むたびに感心するのは、ソフトスキルの使いこなし方だ。

この本で書いてあるMECE・ロジックツリーを知らないサラリーマンはほとんどいないはず。がしかし、MECEの原則に忠実にしたがい、ロジックツリーで問題を分解し、アクションにつなげることができる人は、一体何人いるのだろうか?とも思う。

MECEもロジックツリーも、表面的には単なる枠でしかない。パワポやエクセルさえあれば、それっぽい図を描くことは簡単。がしかし、大切なことは、目の前の現象や問題を、いかにシンプルに、モレなくダブリなく表現するか?なはず。多くの場合、自分の目の前で起きていることは、多くの人の事情や、歴史的な背景が絡み合い、無意味に複雑になっている。その無意味に絡みあう糸を解きほぐすツールがMECEであり、ロジックツリーなのだ。

がしかし、現実には、多くの人は、自分が扱おうとしている問題を難しいと言いたいがために、意味不明で要因が複雑な図を作る。そのうえ、そういうヤツに限ってパワポをこぎれいに作ろうとする。が、それは無意味。いかに、物事を包括的にシンプルに捉えれるかが大事だ。

といっても、いきなり物事を包括的、かつ、シンプルにとらえることは非常に難しい。で、どうするかと言われれば、ゼロベース思考と仮説思考を使えばよい。いままでの経験にとらわれず、今行っていることの本質的な機能を改めて考え直してみることがゼロベース思考。がしかし、それが本当に正解かはわからない。そこで、PDCAを使いながら、いま考えていることが正解かどうかを常に確認し、アクションを修正することが大事だ。それが仮説思考。

書いてあることは、至極ごもっともなことばかりで、さらりと読める。がしかし、さらりと読めることと、この内容に基づいて自分が現状を把握し、行動できるかどうかは、全く別問題。経験を積み、サラリーマンの垢にまみれて脳の動きが鈍った中年オヤジにオススメしたい