2016-02-05

ブルーオーシャンを探す矛盾


ON OFF AND BEYOND
[渡辺千賀]テクノロジー・ベンチャー・シリコンバレーの暮らし

「ブルーオーシャン症候群」とは、密かに日本企業に蔓延する病である。その症状には以下のようなものがある。
  • 自社事業とは遠いところに、競争が少なくて儲かる事業領域があると信じている
  • そしてその事業領域は楽勝で参入できると思っている
  • よって、少人数、少額、短期間で新規事業が創出できるべきだと思っている
  • 結果として(実は当たり前に大変な)新規事業創出に本腰が入らない
(中略)

「競争が少なくて儲かる事業領域」はあるかもしれないが、「楽勝で参入できる領域」はない

以上、ブルーオーシャン戦略というのは、生物の進化並みのことを言ってるわけです。

上述の「破壊的技術への対応」とはつまり、「毒のあるイソギンチャクができた」→「イソギンチャクの毒に耐性のあるクラウンフィッシュ(ニモ)に進化して共生しよう」というのと同じようなことだ。

「違法ファイルシェア」=「毒ありイソギンチャク」、「iTunes」=「ニモ」みたいなもので、有料音楽ダウンロード販売というアイデアはあっても、「違法コピーされたらどうしよう」「違法コピーされたらどうするんだと言われたらどうしよう」「既存音楽業界との仕切りが」などといろいろ問題がある。それを乗り切っても、使いやすいソフトウェアでパッケージされたユーザエクスペリエンス(UX)を提供する技術力があるか、そもそも望ましいUXのなんたるかを理解できるセンスがあるか、という問題もある。さらに、そうしたこと全てがわかっている人がいても、社内で押し切る政治力まで行使できるかはまた別問題だ。
(省略)


ずっと前からなんですけど、この方、個人的には、チキリンよりもずっと面白いことを書いていると思ってます

で、今回のネタは、ブルーオーシャン。
ブルーオーシャンの本は、読んだことないので、何が書いてあるか知りません。なので、よその会社が到底まねできないような圧倒的な製品やサービスをつくりましょうよ、といったことが書いてあるのかもねと、雑なことしか思いつかないわけです。

で、まあ、それはいいとして、今回の、毒あるイソギンチャクの例とか、将来の大金を生むネタがあったとしても、社内政治で足を引っ張られる可能性があるという指摘は、ほんとうにそうそう!と、うなずいてしまう。

しかし、分析してよく思うのは、分析の依頼者は、データ分析すると、金も時間もなーーーんにもかからず、かつ、リスクもなく、かつ、依頼者(=上司)もすぐに納得できて、さらに上司の上司もすぐに納得できて、かつ、サプライズがあり、かつ売り上げがびっくりするほど伸びる素敵な何か?が、いとも簡単に出てくると、勝手に勘違いしてることなのである。

こういう人々を見るたびに、なんとなく思い出すのは、学生の時に勉強しなくてもいとも簡単に良い点を取る方法があると信じていたことだ。まあ、自分がそうだったので、あんまり悪しざまに言えないではあるが、訳が分からなくても答えにたどり着ける方法を、思えばよく探したものなのである。そして、渡辺さんが会ったであろうブルーオーシャン症候群のサラリーマンが、僕が日々目にするデータ分析症候群の方と重なるんですよね

たぶん、その本質は、中学生や高校生の時と変わってなくて、いかに安直においしい果実をいただくかってことなんですよね。でも、そんなメンタリティーだから、いつも売れている会社のマネばっかりすることになるわけだし、だとすると、ブルーオーシャンなんて遠い世界なわけで、ブルーオーシャンを安直に探し出したい人は、ブルーオーシャンなんて決して見つけられないはずなのです。ブルーオーシャンを探しているうちは、ブルーオーシャンは見つからない気がいたします

いずれにしても、会社で仕事ばかりしてると、ホントバカにしかならないので、気をつけなきゃいけませんということなのでございます。

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