2016-02-18

無邪気な

数年前、転職した

転職した理由はいろいろある。その中でも一番大きかったのは、このままだと、気がおかしくなるか、体を壊すかのどちらかだと思ったからだ。

最終出社日が近づいたある日、世間並みに、客先のご担当者さまところに挨拶に行った

ご担当者さまとは、1~2年の間、ほぼ毎日のように直接やり取りをした
正直なところ、無理難題を言われて、相当、苦しんだ
ただ、良い経験をしたというのも、同じく正直な感想だった

客先オフィスに入った時、彼は離席していた。
客先のオフィスで、暫くブラブラしていたら、彼が自分のデスクに戻ってきた。
そこで、机まで歩いていき、転職することを告げた。
すると、彼は、無邪気に、こう切り出した

「ねえ、ねえ、僕らのせい?僕らが、無茶言ったからなの?」

たしかに、そうなのだ。
しかし、客先のオフィス。こんなこと肯定できるワケない。
まだ、ぼくは、会社を辞めていないのだ。
そこで、こう答えた。

「いえ、貴重な経験をさせていただいて、大変感謝しております」

と、事実の半分だけを伝えた。
すると、彼は、なぜか、さびしそうに

「そう・・・・」

と答えた。すくなくとも、自分からは、そのように見えた。

いまでも、彼がなぜ無邪気なことを言ったのかよくわからない。
僕は出入りの業者であり、彼は、発注者なのだ。
僕自身、両者には大きな溝があって、それを超えることなど不可能だと思っている。

彼は、僕に、一体、何と答えて欲しかったのだろうか?

今でも、その時のことを、たまに思い出す。

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