2013-09-17

ぼくには数字が風景に見える

僕には数字が風景に見える(2007)
ダニエル・タメット
講談社

ぼくには数字が風景に見える


自閉症の一種であるサヴァン症候群の著者が、自分が住む世界観を語った本。

サヴァン症候群という自閉症を罹患している人の中に、特殊な才能を持つ人がいると知ったのはごく最近だと思う。子供のころ、映画レインマンを見たことはあった。が、レインマンの主人公がサヴァンだとは知らなかった。その意味で、映画レインマンは、エンターテイメントとして楽しんだけど、自閉症という病気に対する理解を深めたとはいえなかった。

で、時はたち、いろいろあって数学や心理学を勉強することになった。すると、オイラーやラマヌジャンといった天才数学者は強い自閉症だった可能性がある、といったことを書いてある本を時々目にするようになった。実際、サヴァンとしては、ラマヌジャンの逸話が一番有名で、なにやら突拍子もない連分数を神の啓示のごとく喋りだすといった逸話を目にするにつけ、一度、なにかその手の本を読んでみたいと常々思っていた。

サヴァンの人は、たいてい、生活に支障が出るほど強い障害を持っており、自分の世界観を語ることなど到底できないらしい。がしかし、ダニエルは、まあ障害が軽いのでしょう、サヴァンが持つ数字や言葉に対する特殊な世界観、障害を通した人生観、子供のころからの人生や自分自身に起きた出来事について、淡々と事実を連ねている。

正直な話、ラマヌジャンやレインマンのようなエキセントリックな展開を期待すると、かなり拍子抜けするのではないか。がしかし、それは別に悪いことではないはずだ。なぜならば、この本の内容自体、ダニエルが体験してきた世界を、彼自身が忠実に表現した結果なのだから。

一部、疑惑もないわけでもないらしい。だけど、まあ、本人がそういうのだから、まあいいじゃないか、、、といった穏やかな気にさせる本。





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