2014-10-09

SAS All Analytics 2014

SAS All Analytics 2014に参加してきた

転職する前の会社もSASと契約していたけど、クライアント担当だった自分には、この手のフォーラムに顔を出す余裕などなかった。むしろ、フォーラムを開催して、お客さんをアテンドする側。がしかし、いまや微力ながらも立場は逆転し、業務の合間をみて、フォーラムに参加できる立場となったわけです。

で、以下、感想

まあ、基本、SASの商品説明なので、使えるネタはほとんどないわけなのだが、その合間にしゃべってくれたりそな銀行の荒川さんと、花王の永良さんのネタは、同業者としてはすごく刺激になった。

荒川さんは銀行の方なので、基本、自分の業務とは接点がない。だけど、分析の見せ方というか、使い方は参考になったし、同意できるところが多々あった。荒川さんのプレゼンで注目したのは、分析で確率分布ではなく、シナリオ、いいかえればシミュレーションを取り入れると、経営者に対する分析結果の報告、あるいはstory tellingがより強力になるということだったと思う(そういう風にしゃべっておられなかったと思うけど、そう受け取りました)

本質的には、確率分布を設定するのも、シナリオベースにするのも、計算的にはあまり変わりない気がする。むしろ、両者の違いは、確率分布は多く起こることに注目するのに対して、シナリオベースは、あまり起こりそうにないリスク、あるいは経営側の意図に注目するのでははないのだろうか。

たとえば、よくわからないけど、ある投資に対するリターンを考えるとき、確率分布を利用する場合、リターンの95%信頼区間みたいなところに注目することになる。だけど、シナリオベースならば、自分たちの体験のなかでインパクトのあった事例(たとえばリーマンショック)のパラメータをあてはめたとき、リターン(あるいはリスク)の分布がどうなるかを報告することになると思う。いわば、リーマンショックの損失を、いま投資しようとしている案件のリターンやリスクと比べているのであり、意思決定者側からすれば、直感的で、かつ納得度の高い報告を受けることができるのではないかと思ったわけ。

永良さんは、花王で需要予測からマーケティング分析まで、分析一筋で頑張ってきた方。言葉の端々にデータと現実(現場と経営者、研究所)の板挟みでご苦労されてきたことがでていたし、一つ一つの言葉の端々に経験の深さがすごくでていた(会社に、こういう先輩がいたらいいのになー)。永良さんの発表で素晴らしいと思ったのは、使えるインサイトをだすことのノウハウを惜しげもなく公表しているところだ。

たとえば、当たり前の結果とは、通常、使いようがない事実と受け取られてしまう。だけど、それを定規にすると、めったに起こらない、あるいは、説明がつかない事象を考え直すきっかけになる。これを逆に考えるならば、なぜ当たり前の事実が、当たり前になりうるか?を考えるスタート地点にもなるはず。

データを毎日見ている身としては、当たり前に起こることのメカニズムを明らかにしようとする立場は、本当に玄人好みだと思うし、目先の利益に走りがちな昨今、基本・基礎の重要さを改めて伝えてくれる、本当に重要なことだと思う。

一方で、SASのアナリストは、いつものように、こういうデータをこういうモデルに放り込めば、こういう結果が出るし、それつかって金儲けすれば楽勝でしょう的な軽いノリが支配的であり、まあ、なんというか、あんたたち金儲けにつながる分析したことないんだねー感丸出しで、よくいえば、平和なカンファレンスなのでございましたとさ。

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