物理学者、ウォール街を往く。―クオンツへの転進 (単行本)
エマニュエル ダーマン (著),
東洋経済新報社 (2005/12)
物理学でポスドクをやっていた著者が、研究者への道をあきらめて、ウォール街へと転進した話。
正直な話、物理学やデリバティブの内容を、
僕程度の頭では、よく理解できませんでした
が、自然科学から社会科学へ身を翻した著者が持つ
モデル観には、もの凄く共感しました
社会科学では、(物理学のような)自然科学が構築する高い予測力を持つモデルは作れない、と著者は言います。
なぜか?
物理学は、神が創造したルールを解くことこそがモデルを作ること。神が創造したルールは、難解かもしれない。が、ルールが一貫していることは確信できる。
だから、ルールを解ければ、高い予測力を持つモデルが作ることができる。高い予測力こそが、正しいモデルの証明だ。
一方、社会科学は、どうか?
社会科学では、人間の行動をモデル化する。しかし、行動の一貫性など、全く期待できない。つまり、ルールなど存在しない。だから、自然科学のような、予測力の高いモデルは構築できない。近似ができれば、御の字だ。
さらに、社会科学におけるモデルの正しさは、専門家集団によるコンセンサスの問題に帰着している、、、
では、社会科学におけるモデルは、無意味なのか?
そうではないだろう。
限界と有効性を念頭に置きながらモデルを使うことこそ、科学的なアプローチなのだ。その意味で、モデルの有効性を、盲目的に信じるのも、信じないのも、本質的には大差ない。
そして最も重要なことは、モデルが使えないからと言って、カンや文学に戻ってはいけない、ということだ。
ビジネスで、ある種の社会科学に携わる人は、この本を読んで、絶対に損でないはず、と強く思いました。
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