大竹文雄のブログ
日本では雇用調整が難しい正社員と雇用調整が比較的容易な非正規労働の二つのタイプの労働者がいたのであって、派遣労働はその一部です。派遣労働をなくせば、非正規労働の問題が解決するわけでもなんでもありません。問題は、正社員中心主義の雇用保障が、非正規労働への需要を増やしていくという日本社会の仕組みにあります。正社員を保護すればするほど、訓練を積んだ正社員を使わなくてもやっていけるような技術体系や雇用体系を取り入れることを企業に促進させるのです。
正社員の解雇が難しいことが、非正社員の増加をもたらすってのは、前から労働経済学者がよく言ってますよね。そして、この事実が、さらに非正社員を活用したビジネスモデルの構築を促進します。結果として、スキルが低い非正社員でも、十分に仕事が回るような職務体系を構築する正社員への負担が、さらに重くなっていく。
会社で仕事をしていても、この事は、強く感じますね。
非正社員の人には、多くを求められないと、個人的には思ってます。定時になったら帰ってしまうし、いつ辞めるか(辞めさせられるか)も分からない。そもそも、非正社員は、派遣会社の社員。つまり、よその会社の人。だから、自社内で使う業務スキルの形成を期待できない。だから、量は多いけど、簡単で面倒で、つまらなくて、やりがいのない単純作業を、お願いすることになる。そして、この「量が多いけど、簡単で、面倒な作業」に現在の業務内容を変更したり、その作業をチェックするために自分が費やす時間が、結構バカにならない。時間があれば、自分でやったほうが、正確で早いと、よく思ったり。
さらに言えば、そもそも、非正社員の人は、スキルを向上させるインセンティブがないに等しい。だって、彼らは、売り上げが減れば、いやおうなしに解雇される。派遣先の会社との間に、長期的な関係構築を望めないから、スキルを向上させる必要もないし、スキルを身につける利益もない。会社や仕事が変われば、必要なスキルも変わってくるからだ。そして、正社員との間に、長期的な人間関係構築にコミットする必要もないし、そこにメリットもない。だから、気分次第で、いい加減な事をしたり、いやみを言ったりと、かなり強気な人もいたりする。それもこれも、解雇される事、つまり契約を打ち切られる事にコミットできてるからだ。
まあ、解雇される事を受け入れられるかは、その人の立場によるかもしれない。家族を養う人ならば、解雇にコミットしにくいだろう。だけど、結婚までの間、自分の小遣い稼ぎ程度に働いているOLであれば、解雇にコミットする事は難しくない気がする。
ということで、現状のままで、非正社員の雇用を守る事には、それ程共感できない。だけど、業務の配分方法を変えることで、正社員に近い人たちが増える事は、よい事かもしれない。そして、ボケーーとして定時ぴったりで家に帰るオジサン正社員と、頑張ってる非正社員の入れ替えは、あってもいいかもしれない気がする。
まあ、個人的に目指したいのは、定時ピッタリに家に帰るおじさんなんだけどねえ。
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