2009-01-30
現代マーケティング論
高嶋克義・桑原秀史(著)
有斐閣書店(2008)
マーケティング理論の基礎を、体系的に紹介している本。
この本の特徴は、2つあると思う。それは、具体的な事例紹介に走らないこと、そして、理論体系の展開を重視していることだ。
ところで、勤務先の業務は、クライアント企業のマーケティング活動のお手伝いをすること。だから、多くの社員は、マーケティングについて、一家言もっている。実際、職種柄、各社のマーケティング戦略や、それぞれの戦略の結果(成功・失敗)をしることは多い。で、その経験を持って、クライアント企業の戦略を、高みからあーーだこうだ、評価するのだ。入社2~3年目もすれば、「あの商品は売れない(売れる)」とか、「××社は、マーケティングがへたくそだ」とか、評論家的な意見をイッパシに言うようになる。しかし、、、、だ。会社の中で、マーケティングの理論的な根拠をきちんと踏まえて発言・分析をしている人は、いったいどれくらいるのだろうか、、、、とよく思う。だって、多くの場合、成功・失敗の評価はでるにせよ、「なぜ」成功したか・失敗したかは、よく分からないはずなのだが。
では、どうしたらいいのか?もし、「成功・失敗」の理由を知りたいなら、やはり、マーケティングの「理論」を知るべきだと思う。理論を用いて、「成功・失敗」の理由を、フォーマルに分析する。「成功・失敗」の理由をフォーマルにつかむ事ができれば、つぎの戦略へ生かす事ができるはずだ。
この本は、マーケティング理論を体系的に解説している。もちろん、ほかにも、マーケティング理論を解説している本は、たくさんある。でも、この本ならではの特徴があるとしたら、理論が「網羅的ではなく体系的」なところだ。だから、STPや4Pを概念的にを解説するにとどまらない。この本では、無差別曲線と等費用曲線からSTPを解説したり、4Pの中でもProductの重要性を強調し、PLCとの関係について詳しく解説している。このような解説を展開する本を、ぼくは、今の所、よんだことない。
マーケティング理論は、聞いた事があるような話しばかりだ。でも、そのことと、理論をにきちんと理解し、使えいるようになる事は、全く別の事だとおもう。その意味で、理論を踏まえマーケティング実務を取り組みたい人にとっては、とても大事な本多と思う。
2009-01-27
来月末は講演会
あの伝説の星野さん、、、、
どんなことを話すのか、いまから楽しみです
実務経験とアカデミックな知識を兼ね備えてる星野さんをお手本にして、これからも頑張りたいもんだ。
2009-01-17
負担の問題
大竹文雄のブログ
正社員の解雇が難しいことが、非正社員の増加をもたらすってのは、前から労働経済学者がよく言ってますよね。そして、この事実が、さらに非正社員を活用したビジネスモデルの構築を促進します。結果として、スキルが低い非正社員でも、十分に仕事が回るような職務体系を構築する正社員への負担が、さらに重くなっていく。
会社で仕事をしていても、この事は、強く感じますね。
非正社員の人には、多くを求められないと、個人的には思ってます。定時になったら帰ってしまうし、いつ辞めるか(辞めさせられるか)も分からない。そもそも、非正社員は、派遣会社の社員。つまり、よその会社の人。だから、自社内で使う業務スキルの形成を期待できない。だから、量は多いけど、簡単で面倒で、つまらなくて、やりがいのない単純作業を、お願いすることになる。そして、この「量が多いけど、簡単で、面倒な作業」に現在の業務内容を変更したり、その作業をチェックするために自分が費やす時間が、結構バカにならない。時間があれば、自分でやったほうが、正確で早いと、よく思ったり。
さらに言えば、そもそも、非正社員の人は、スキルを向上させるインセンティブがないに等しい。だって、彼らは、売り上げが減れば、いやおうなしに解雇される。派遣先の会社との間に、長期的な関係構築を望めないから、スキルを向上させる必要もないし、スキルを身につける利益もない。会社や仕事が変われば、必要なスキルも変わってくるからだ。そして、正社員との間に、長期的な人間関係構築にコミットする必要もないし、そこにメリットもない。だから、気分次第で、いい加減な事をしたり、いやみを言ったりと、かなり強気な人もいたりする。それもこれも、解雇される事、つまり契約を打ち切られる事にコミットできてるからだ。
まあ、解雇される事を受け入れられるかは、その人の立場によるかもしれない。家族を養う人ならば、解雇にコミットしにくいだろう。だけど、結婚までの間、自分の小遣い稼ぎ程度に働いているOLであれば、解雇にコミットする事は難しくない気がする。
ということで、現状のままで、非正社員の雇用を守る事には、それ程共感できない。だけど、業務の配分方法を変えることで、正社員に近い人たちが増える事は、よい事かもしれない。そして、ボケーーとして定時ぴったりで家に帰るオジサン正社員と、頑張ってる非正社員の入れ替えは、あってもいいかもしれない気がする。
まあ、個人的に目指したいのは、定時ピッタリに家に帰るおじさんなんだけどねえ。
2009-01-15
分かれるとまとまる
2009-01-12
お客さんを信じられるか?
で、思いました。 まあ、単純に考えればさ、youtubeにフジテレビの映像資産を無断引用されてけしからん、商売の邪魔だって話。だから、削除したわけだ。でも、これは、ごくごくごーーーく、単純に考えた時だけの話。
でもさ、よく考えてみれば、状況はちょっと違うんじゃないの?
まず、youtube見て満足するような人は、平井賢や椎名林檎の本当のファンではない、と思う。 本当のファンであれば、(発売されてるとして)この大元の映像や、CDがほしいはず。 本当のファンは、平井賢や椎名林檎を応援したいはずだよ。 だって、大衆演劇や演歌歌手を応援しているおばちゃんは、入場料の他に、おひねり渡すじゃんか!
もし、この仮定が正しいのであれば、、この映像がyoutubeから削除された時の利得は、その映像を購入して損するはずの一見さん的、どーーーでもいいファンだけ。でも、この人たちは、そもそも平井賢のファンにならないはずの人たち。つまり、そもそものターゲット顧客でもない。つまり、間違えて買ってしまう人。よって、youtubeの映像を削除する事によって得られる利益とは、勘違いして買うかもしれない人の金。なんか、すげーーー、バカみたいなんですけど。ま、フジテレビらしいといえば、そうかもしれない。
さらに、この映像を削除した事によって失う利益もある。それは、youtubeの映像を見てファンになったかもしれない人達が払うお金。平井賢が、一見さんファンではなく、根強いファンに支えられてるとするならば、この機会損失は大きい。しかも、コレだけよい映像を見せられたら、好きな人なら、CD買って応援したくなるはずだよ。しかも、なんら利害関係もないファンが、SNSなどを通じて、平井賢のよさを「自分勝手に、かつ、無料に」宣伝する。口コミの重要さが指摘されておきながら、口コミの芽を摘むフジテレビのセンスは伊達じゃないね。
まっ、規制に守られた、非競争的な世界の住人のようなので、無理も無いんだろうけどさ。
ところで、この手の話を、先月、受けたマーケティング研修でもきいたのだ。
「企業は、お客さんに自分達が提供するサービスの良さを信じてくれと懇願する。一方、企業は、お客さんを、そう簡単には信じようとはしない。」
つまり、こういうこと。
企業は、自分達が提供するサービスの良さを、お客さんに信じてもらえるように行動したいと目標を掲げる。しかし、一方で、企業は、自分達のお客さんは、提供するサービスをタダで受けようと、隙を狙っていると信じている、つまりお客さんを信じていない、と言う事。 お客さんに信じて欲しいなら、まず、企業がお客さんを信じなきゃいけないんじゃないの?ってことだね。
このフジテレビの例は、悪い方の例になる。 自分達の映像資産を、無料で勝手に利用されるとしか、youtubeを見ていない。 でも、それは、youtubeの一面に過ぎない。youtubeの映像を見てファンになるかもしれない人たちを見逃している。おろか。
フジテレビの社員は、試食コーナーの食べ物を酒の肴にして、酒盛りを出来るような人たちの集まりなのかもしれない。まっ、それくらい面の皮が厚い人たちが集まってるようだけど。
2009-01-03
航空科学博物館
2009-01-02
自分のことは分からない
「マーケティング調査を通じて、消費者の行動や考え方を知ること」
これって、どんなマーケティングのテキストにも書いてある。
そして、この言葉を、調査会社の人々が、お客さんに向かってお題目のように唱える。
ところで、お客さんによっては、この言葉の大切さが全く通じない時がある。
お客さんいわく、
「調査なんて、どうせ、自分たちが想像していた結果しかでてこない」
「調査会社の人が勧めた分析の大切さが、ピンと来ない」
などなど。。。。つまり、金をかけてやるほどのこと?って感じ。そして、自分の営業トークが滑った調査会社の人達は、この手のお客さんを、こんな風にバカにする。
「あいつら、調査の重要性を分かってない」
「あそこは、マーケティングが下手な会社だ」
ちょっと、まてよ。何か変じゃない?
マーケティングとは、消費者のニーズやウオンツを満たすサービスを提供しましょうって話。つまり、提供するサービスを受け入れてもらうのではなくて、受け入れることが出来るサービスを提供しましょうってことだ。だから、マーケティング調査で、消費者の実態を調べなきゃいけない。
ところが、消費者の実態調査を勧める調査会社の人達は、一方で、自分たちが提供するサービスを受け入れないお客さんを批判している。お客さんには、消費者が受け入れるサービスを知ることが大事と言いながら、調査会社は、自分たちが提供するサービスを受け入れろと言う。
すくなくとも、お客さんを批判する権利はないはず
滑った営業トークの原因を、お客さんのセンスのせいにするのは、流行らない定食屋が客の舌を疑うのと同じ。
いずれにせよ、自分がしていることは、なかなか分からないってことなんだろうね