2017-10-30

AIについて

AIについて書いてみる

正直なところ、Deep learning祭りが、こんなにも盛り上がるとは思わなかった。囲碁や将棋で人間を打ち負かせたり、Googleの音声認識や翻訳が劇的に改善したりと、Deep learningは、要素技術として実用段階に近づきつつある。

がしかし、私の考えでは、ビジネスで使えるためには、もう少し時間がかかると思う。

理由は、技術が未成熟といよりも、ビジネス側の受け入れ準備が整っていないことにある。AIを入れるためには、AIを動かせるような体制やデータの準備が必要だ。

考えてみれば、当たり前のこと。AIで将棋や囲碁のプロを打ち負かすために、Googleは一体いくらのお金を費やしたのだろうか?Deep learningが、ネコの画像をネコと見分けるために、研究者は、一体どれだけの時間と労力を費やしたのだろうか?Deep learningの効果は、Deep learningを仕込んだ人たちの労力と、それ自身の性能をセットで考える必要があると思う。

実は、ここ数か月、業務効率改善のために、Deep learningが使えないか模索していた。結論は、単純だった。ビジネス側の準備が整っていない。

ビジネス側の準備を整えずに、AI(もどき)を導入した企業の話も聞いてみた。答えは、みんな同じだった。AIは、ロクな働き方をしないと。

AIは、何もしなくても賢くなる道具ではない。AIを賢くするためには、ちゃんと手をかけて育てなければならない。人間がバカだと、AIもバカになる。それだけのこと。

AIは、使う人の能力次第。
ここまで来て気がついた、よく働くAIを作るのは、子育てと全く同じだと。

2017-09-23

望まない戦争

いよいよ、金正恩とトランプのやり取りに手詰まり感が出てきた。いろんな人がいろんなこと言っているが、内容は似たり寄ったりだ。自分もその中の一つだ。

・アメリカも北朝鮮は譲歩するつもりはない
・同様に、両者とも戦争を望んでいない
・最終的な解決手段として戦争にコミットしている

このような状況を指してチキンレースと言っている。金正恩もトランプも、強気な姿勢を崩すつもりもないが、強気な言葉の端々に、譲歩の可能性も残し続けている

たとえば、昨日、トランプは国連で、金正恩を自殺志願者のロケットマン皮肉った。
ちなみに、トランプの空気を読まない下品なジョークは、そんなに嫌いじゃなかったりする。

CNN Politocs

Trump to UN: 'Rocket Man is on a suicide mission'
 September 19, 2017

In blunt terms, Trump warned the US would "totally destroy North Korea" if forced to defend itself or its allies.

He said while the US has "great strength and patience," its options could soon run out.

Directly putting the country's leader on notice, Trump suggested Kim Jong Un could not survive an American attack.

"Rocket Man is on a suicide mission for himself," he said.



で、これに対する金正恩の返答がこれ

JIJI.com
「太平洋水爆実験」と威嚇=米大統領演説に猛反発-北朝鮮
2017/09/23-00:44

「トランプ(大統領)が世界の面前で私と国家の存在そのものを否定して侮辱し、わが国を消し去るという最悪の『宣戦布告』をした以上、われわれも、それにふさわしい史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に考慮する」と表明。

「妄言に対する代価を必ず支払わせる」と強調した


まさに、売り言葉に買い言葉なのだが、その中でさえ相手に対する配慮というか、もっともらしい言葉を使うならば戦略的オプションが含まれているのがおもしろい。

トランプは、北朝鮮をぶっ壊してやると言いつつも、それもアメリカや同盟国(日本・韓国)が攻撃されたときと条件を提示しているし、アメリカ自身も、まだ我慢の最中だとも言っている

金正恩も、「史上最高の超強硬対抗措置」という、暴走族の落書きを思わせるコメントで威嚇しつつも、その後で、わざわざ「慎重に考慮」と含みを持たせている

戦争なんて、どっちもメンドクサイだけで、何の得にもならないのだが、こういう風にしか表現でいないのを見ると、まるで反抗期のヤンキーが教師に歯向かっているようにも見えて、ある意味ほほえましい。

この状況を見るにつけ、太平洋戦争開戦前の状況がよぎる

日本政府・日本軍にとって、太平洋戦争は望まない戦争だった。日本政府は、明治以来少しづつ拡大してきた朝鮮半島と満州での権益を守ることが、対ロシアの、最も重要な外交テーマであり、ゆずれない一線だった。しかし、満州の権益をめぐる交渉の中で、アメリカと対立し、沢山の交渉を積み上げた結果、太平洋戦争をせざるを得なくなった。まともな軍人であれば、誰一人としてまともに勝てると思っていなかったのにも関わらず。

現実的に考えれば、欧米はもちろん、中国・パキスタン・インドなど核を持っている国はたくさんある。フセインやカダフィーは、核を持っていないがゆえに、体制が崩壊した。北朝鮮の人には申し訳ないが、金正恩の独裁体制が北朝鮮で収まっているうちは、独裁体制は対岸の火事という見方もできる。北朝鮮は、核を放棄するならば見返りを求めるだろう。しかし、核放棄のために見返りを渡す国もない。

荒っぽい言葉のやり取りと裏腹に、一つ一つゆっくりと、そして合理的に交渉材料をつぶしつつあるのが今の状態。ゆっくり物事が進むのはよいことだが、それは同時に戦争する確信を高めているようにも見える。さて、どうなることやら。

久々の長文かつ駄文

2017-07-16

「原因と結果」の経済学

「原因と結果」の経済学

中室牧子・津川友介
ダイヤモンド社 (2017/2)


相関関係と因果関係が違うことを、改めて説明した本

心理学を学ぶ人ならば、イの一番に、統計学と実験計画のお作法を習う。そして、その時に、実験計画を研究に組み入れる理由を学ぶのだが、まさにそれが、相関と因果の違いを区別するためだ。心理学や、一部の計量モデルをつかう社会学・経済学の人たちにとって、この本が書いていることは、特段目新しくも何でもないと思う。がしかし、誰かにとって当たり前でも、その他の人にとっては当たり前ではなく、そこを新しい商売のネタを見つけるというのは、世の中を生き抜くうえで重要なテクニックなんだろうと思ったりする

アメリカの経済学者が、びっくりするような予算を獲得して、研究に社会実験(ランダム化比較試験)を行っていることに、アメリカ人の大胆さに感心したり、あきれたりしてしまう。他人との調和とか、あらゆる人の平等のプライオリティーが高い日本では、未来永劫、こんなことはできない気がしてならない。

ビジネス分野でランダム化比較試験にあたるのはA/Bテストだ。たとえばお客さんを2つのグループに分けて、片方だけ販促を行い、両者の売り上げを比較し、投資効果の検証を行う。アイデアとしては、バカげているほど単純だけど、何も知らない上司や、稟議を審査する経営茶坊主たちを説得するには便利なツールなのだ。科学的な装いを担保しつつ、簡単でバカでも理解できるツールを使えば、何も知らない上にプライドが高いやつらを簡単に説得できる。

回帰不連続デザインや操作変数法も、カンと地頭がよいビジネスマンならば、普通に上手に使って誰かを説得しているのではないだろうか。ただし、この手のものは、バカとハサミは使いようというのと同じで、マニアックで凝った比較デザインのデータを見せられても、つまらないことにこだわっているようにしか見えない時がママある。比較の正しさにこだわった結果、なんか一般性が低くねえか?的なことだ。この辺のサジ加減は結構難しい。

お前が作った分析には考慮していない要因がある、というのもありがちな突っ込みだ。第三の変数があるだろうと。実は、自分の場合、その変数を無視した理由を上げつつ、無視して何が悪いと逆に居直ることが多いのだが、そうも言ってられないこともたまにはある。そういう時は、回帰分析をするしかない。回帰分析も便利なツールなのだが、いかんせん、何も知らない上司や経営茶坊主たちに分かりやする説明するのが面倒。自分の感覚では、SQLで数字をつくり、Rをこねくりまわし、モデルが当てはまりましたという段階は、まだ6合目あたりでしかない。モデルが当てはまるようにいじくりまわした変数たちを、上司や経営茶坊主たちが、素直に納得し、それでいて発見があり、かつ適当にほめられつつ、けなされつつ、なおかつ、見て楽しい図にまとめる必要がある。塔がったった中年オヤジたちを相手にするとは、まったく面倒な話なのだ。

ごちゃごちゃ書いたけど、相関と因果の違いを知りたい人は、まずこの本でお勉強するのがよろしいかと思われます。