魚谷 雅彦 (著)
ダイヤモンド社 (2009/8/6)
訳あって読んだ本
荒っぽい言い方をすると、魚谷さんがライオンの営業マンから、MBA留学を経て、グローバル企業の日本トップにまで上り詰めた成功談を、マーケティングという視点から書いてある。
思ったことは二つ。
(1) 一昔前のマーケティングが功を奏した時代の話
(2) 優れたリーダの資質
といったところです。
(1)は、冷たい言い方だけど、書いてある内容は一昔のマーケティングだなあと、本当に強く思った。マーケティング部や宣伝部が、良い(かっこいい)イメージのCMをメディアに大量の投下して、営業部門と消費者をリードする、といった感じだ。最近、この手の販促をする会社が思い当たらないし、見かけない。よく思うのが、CMとかメディアが、かっこいい理想的な消費生活を消費者に提示できなくなった、とよく思う。魚谷さんが活躍していたた時代は、せいぜい10~15年前。実は、そんなに大昔でないけど、彼が駆使したマーケティングが、すごく古臭く見えるのは、この間、それほどまでに世の中が変化した結果なんだろうと思うわけです。
(2)は、魚谷さんが、リーダーとして、関係部署を強力にリードして成功に導いたという体験談のことです。ビジョンを示し、現状に疑問を提示し、みんなを鼓舞し、成功に導く。グローバル本社との板挟みはいろいろあったのでしょうが、自分のビジョンに向かって、関係者をまとめ上げていったということが、すごくよく伝わりました。が、彼が革新的なビジョンをかかげるたびに、部下や取引先が感激のあまりに涙を流したり、称賛の嵐が吹き荒れるのは、本当であれば素晴らしいのですが、何となく出来レース感、あるいは、魚谷さんの専制君主感を逆に感じてしまうというのも事実なのでございます。
正直なところ、僕はゲスな人間なので、成功話を得意げに書かれてもあまり面白くなく、むしろクラフトの時の苦労話のほうが面白かったです
なんとなく、もうこんな牧歌的な時代には戻れないのではないか、という思いを強くした、というのが最終的な感想なのでございます
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