ちょっと前に、やしきたかじんが亡くなった
たかじんに特別な思い入れはない。自分自身、生まれてからずっと東京に住んでいるから、関西ローカルの彼のテレビ番組をみることなどほとんどない。加えて、たかじんも東京で製作するテレビ番組に出演することを、かたくなに拒んでいた。
がしかし、たかじんが東京の深夜番組に出演した時期があった。いまから20年くらい前、おそらく1995~1997年ごろのことだ。
当時、ダウンタウンが大ブレイクしていた。大阪の笑い、その中でも本当に下品な笑い---あからさまに人の悪口を言う、弱いものに露骨に暴力をふるう、聞くに堪えないような本当に下品な下ネタをいう---は、良くも悪くも新鮮だったし、刺激的だった。10代後半だった自分は、ダウンタウンの笑いに夢中になった。たかじんの深夜番組が東京で放映したのは、ちょうどそのころだったはずだ。
たかじんの番組も,、ダウンタウンと同じような鋭さがあった。たかじんの番組は、単なるトーク番組だ。彼は、テレビで何の芸も披露しない。ただただ、酒を飲みながら、ゲストとフリートークするだけだ。がしかし、単なるフリートークではなかった。たかじんは、番組中に、自分が気に食わないこと、理不尽だと感じたことがあると、撮影中であっても、怒りをあらわにした。番組中に目下のタレントをののしる、スタッフに暴力をふるう、最悪、撮影を拒否し、家に帰る。
初めてたかじんの怒りを見たとき、本気かどうか疑った。それまで、公共の電波を使って激怒するタレントなど見たことがなかった。が、たかんじの怒りは本物のようだった。まだ若かった自分は、そんなたかじんの番組に夢中になった。番組は、1~2年くらい続いた後、打ち切りとなった。理由はわからない。その後、たかじんが東京のテレビ番組でみることはほとんどなくなった。
当時、たかじんが、本当につまらない理由で激怒する理由がわからなかった。しかし、今になって思う。彼は、怒りを爆発させることでしか、視聴者を引きつけることができなかったのではないか、と。だから、つまらない理由でも、いや、つまらない理由だからこそ激怒する必要があった。彼の激怒を芸として認めているのは関西の視聴者であり、関西のテレビ局だけだったのだろう。同じ理由で、東京でほぼ無名のたかじんを自由に泳がせるテレビ局はなかったし、彼自身が東京進出を拒んでいたのは、そんな理由なのだろう。
この先、あの手のタレントが有名になることはないと思うし、やしきたかじんやダウンタウンのような笑いを使うタレントを有名にしてはいけないと思う。
しかし、最近、一部の吉本のお笑い芸人が、なんか頭が切れる風な言動をするのを見るにつけ、どんだけ立派なんだよと思ってしまうことが多い、ホント、お笑い芸人もえらくなったもんだ、しかし、賢い風な態度をとって、彼らの商売に差し障らないのだろうか?
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