Warner Bros(2008)
女の欲望(金・美・男)を、ファッションとニューヨークでオブラートに包んだ物語。
一番初めに、Sex and the Cityを見たのは、たぶん98年か99年の頃だったと思う。当時のWOWWOWは、土曜の深夜帯(12時以降)に、海外のソフトにエロい映画やドラマを流していた。当時、家族が寝静まった土曜の夜、こっそりとソフトにエロい映画を見るのを楽しみにしていたのだが、その時間帯に放送されたのが、Sex and the Cityだ。
題名を見て、これもエロい、当時の私はそう考えたはず。がしかし、期待を膨らませて見始めたものの、セックスシーンはおろか、女性の裸すらほとんど流れない。それでもいつかエロいシーンが流れるはずと思って、毎週見ているうちに、ストーリーそのものにはまった。
このドラマは、たぶんアラフォーだけど、経済的に自立して、かつ女性的な美しさを保っている4人の生活を、金・男・ファッションを軸にしてコミカルに描いている。今風に言えば、キラキラ女子(ババア)の恋愛模様だ。
たぶん、女性がみて楽しいドラマだ。主役のキャリーは、有名雑誌のライターとして成功し、自分で稼いだ金でオシャレな洋服を身にまとい、豪華な食事に舌鼓をうち、金持ちの男から愛される(ビッグ)。日本のドラマでもよくあるパターンで、ヒロインは、大体、雑誌社のライターや編集者、もちろん仕事がデキル女でありながら美しく、金持ちのイケメンに愛される・・・
正直、これを見て楽しいと思う女性に引いてしまう。そもそも、大金持ちでイケメンのビッグが、アラフォーのキャリーを彼女にする理由がわからない。世の女性は、ビックに
「若い女は薄っぺらくて面白くないんだよ。女性は、やはり知的で社会経験が豊富でないとね」
などと囁いてほしいのだろう。がしかし、そんなことをいう男はいない。ビッグが40代半ばならば、20代中盤~後半で、物わかりのよくて、見かけが良い女を彼女にするはず。キャリーが選ばれるとしたら、ビッグが50代後半以降の場合だけだ。
他のキャラクターも、正直なところイタイ。サマンサもミランダも、男勝りの金と経歴を持っていて、自分よりも若い・程度の低い男を振り回すというのも、ある種の女性の支配欲である。シャーロットは、お嬢様育ちで、それは、ある種の女性の憧れそのものだ。
でも、それでも何となく見てしまうのは、女性が憧れる女性でさえも、それがゆえに失敗を繰り返す人間的なところが面白と思ったからだった。ビックになかなか振り向いてもらえないキャリー、男勝りなミランダとサマンサ、シャーロットは、お嬢様だけど、世間体がいろいろあって生きにくそうだ。
むかしたまごっちの開発者の人が、ペットをかわいがる理由は、ペットは世話がめんどくさいからだ、といっていた。つまり、扱いが面倒なところがあるからこそ、より愛情は深くなるのだ。Sex and the City は、女性があこがれる女性の成功だけでなく失敗もきちんと描き、憧れとやっかみのバランスがすぐれていた。そして、それこそが、このドラマの人気の秘訣だったのではないでしょうか。