フレームワークを使いこなすための50問(2009)
~なぜ経営戦略は機能しないのか?~
牧田幸裕
経営戦略が提唱する分析フレームの使い方を、実務に即して説明した本。
SWOT分析や3C分析とは、経営学が提唱する戦略分析フレームです。また、サラリーマンであれば、SWOT分析や3C分析を、一度ならずやったことがあると思う。がしかし、自分が分析した結果は当然、他人の分析結果をみて、「なるほどー」とか、「そーだよね、ウチの会社は、こういう構図で負けてるんだよねー」と心のそこから納得できたことありますか?そこで、たった一度も納得したことない人には、この本をお勧めしたい。といいつつも、この本さえ読めば、分析フレームは使えるようになる、というわけではないのですが。
はてさて、なぜ、分析フレームが使えないのか?答えは簡単。
「分析フレームを理解していないから」
PEST分析・3C分析・SWOT分析・アンゾフのマトリックス・・・
だれでも、こんな分析フレーム知っているはず。この手のフレームを紹介しないビジネス書も、まずない。しかも悪いことに、分析フレームの解説を読むと、サラリーマンにとって、自明なことが書いてある。
では、この分析フレーム、サラリーマンならば、だれでもうまく使いこなせるのか?
だれも、うまく使えない。
SWOT分析を例に挙げてみる
SWOT分析とは、自社・競合のStrength / Weak / Opportunity / Threatを整理することです。自社・競合のSWOTを整理することなど、たやすいように思える。しかし、いざ、自分でSWOT分析をしてみると、すごく平板な結果になってしまう。たとえば、Strengthには自社がシェアを取れている商品と理由、Weakには自社商品がシェアを取れていない理由と、他社製品が優れている理由、OpportunityやWeakには、日経新聞にかいてあった、一般的な経済・社会情勢が書いてある・・・・、どれも事実だが、洞察もない事実の羅列が分析結果になりました・・・というように。
実は、SWOT分析とは、外部状況(Opportunity / Weak)に対する自社の強み・弱みを整理することなのです。つまり、どの外部状況に注目するのか?。そして、注目した外部状況に対して、競合のリソースの下で、競合に勝てる自社リソースはなにか?を考えることです。言い換えれば、SWOT分析では、各要素間のダイナミクスを分析する必要がある。そう考えると、SWOT分析の4つのコメントを書くとは、ものすごーーーく難しい作業なはず・・・・。
この本を読むと、フレームの使い方のコツが書いてある。この本を読めば、分析フレームを使って何を分析すべきか?・どのタイミングで分析すべきか?そもそも、分析フレームの本質は何か?を知ることがきるはず。
サラリーマンで、戦略を構築するくらいの職位に立つと、万能感が襲ってくるはずだ。会社では年次が上がり、立場も上がり、自分が言うことに表立って批判してくる部下などいない、、、さらに、業績評価をたてに、自分の失敗を糊塗することなどたやすい。どれも、自分がヒラで下っ端だったときには、不可能だったことだ。立場が上がり、ミスやバカを隠しとおせるようになったことを、自分が賢くなったことと見誤る管理職は、本当にたくさんいる。(というか、管理職とは、そういうものだ。)そんな人たちに、自分の足元を見つめなおす機会となる一冊になるはず。
0 件のコメント:
コメントを投稿