2016-02-18

無邪気な

数年前、転職した

転職した理由はいろいろある。その中でも一番大きかったのは、このままだと、気がおかしくなるか、体を壊すかのどちらかだと思ったからだ。

最終出社日が近づいたある日、世間並みに、客先のご担当者さまところに挨拶に行った

ご担当者さまとは、1~2年の間、ほぼ毎日のように直接やり取りをした
正直なところ、無理難題を言われて、相当、苦しんだ
ただ、良い経験をしたというのも、同じく正直な感想だった

客先オフィスに入った時、彼は離席していた。
客先のオフィスで、暫くブラブラしていたら、彼が自分のデスクに戻ってきた。
そこで、机まで歩いていき、転職することを告げた。
すると、彼は、無邪気に、こう切り出した

「ねえ、ねえ、僕らのせい?僕らが、無茶言ったからなの?」

たしかに、そうなのだ。
しかし、客先のオフィス。こんなこと肯定できるワケない。
まだ、ぼくは、会社を辞めていないのだ。
そこで、こう答えた。

「いえ、貴重な経験をさせていただいて、大変感謝しております」

と、事実の半分だけを伝えた。
すると、彼は、なぜか、さびしそうに

「そう・・・・」

と答えた。すくなくとも、自分からは、そのように見えた。

いまでも、彼がなぜ無邪気なことを言ったのかよくわからない。
僕は出入りの業者であり、彼は、発注者なのだ。
僕自身、両者には大きな溝があって、それを超えることなど不可能だと思っている。

彼は、僕に、一体、何と答えて欲しかったのだろうか?

今でも、その時のことを、たまに思い出す。

2016-02-13

Forrest Gump


Forrest Gump(1994)
トム ハンクス



映画を見なくなって久しい。最後に見たのが思い出せないくらいだ。
色々あった十何年間を取り戻すべく、Huluにはいって映画を見ることにした。
見るべきものはたくさんある。なんせ、全然見ていないのだから。

で、フォレストガンプ
アカデミー賞を6部門を独占した名作、だそうだ。
一言でいえば、裸の大将のような内容のヒューマンドラマ

知恵遅れと言ったら言い過ぎかもしれないけど、小学校の時、知能指数低いと診断された主人公のフォレストが、ただひたすらに純朴に、仲間や組織の約束を守って生活をした結果、経済的・社会的な成功を納めたという話。

今日も、不倫を週刊誌にすっぱ抜かれた国会議員が辞任する騒ぎがあった。こういう人(
宮崎謙介)を見るにつけ、なんでこいつが議員になれたんだ?と思うのだ。表面的に立派なことを言って、上手く議員になったこいつの本質とは、自己顕示欲と見栄の塊にちがにないと思うのだけども、結局のところ、口先と見かけだけで、こいつを当選させたのも有権者なのであり、しょせん、他人様の評価など当てにできないなと思うのです。さらに、不倫していたのも、こいつだけじゃないよな(細野 豪志)とか、きっと、普段から女癖わるいんだろうなとか、このくらいじゃないと政治家は務まらんのだろうなとか、いろいろ思うわけです。

といった世知辛い世の中で、ただひたすらに素朴で純朴なForrestをみると、本当に心があらわれる。そして、やっぱり正直者はちゃんと報われてほしいと思ってしまう。世の中をうまく渡れない大多数の人たち(もちろん、自分も)は、純朴なForrestの社会的・経済的成功の中に、愚鈍なわれわれ自身の社会的な成功を透かして見ているに違いない。

ただ、一方で、知能が低い人を純粋・純朴だとみるのも、ある意味で、そうでない人たちの勝手な偏見ではないか?とも思ってしまう。でも、これは、ヤボな突っ込みだと思う。なぜならば、うすのろForrestとは、私たち自身のことなんだから。

2016-02-05

ブルーオーシャンを探す矛盾


ON OFF AND BEYOND
[渡辺千賀]テクノロジー・ベンチャー・シリコンバレーの暮らし

「ブルーオーシャン症候群」とは、密かに日本企業に蔓延する病である。その症状には以下のようなものがある。
  • 自社事業とは遠いところに、競争が少なくて儲かる事業領域があると信じている
  • そしてその事業領域は楽勝で参入できると思っている
  • よって、少人数、少額、短期間で新規事業が創出できるべきだと思っている
  • 結果として(実は当たり前に大変な)新規事業創出に本腰が入らない
(中略)

「競争が少なくて儲かる事業領域」はあるかもしれないが、「楽勝で参入できる領域」はない

以上、ブルーオーシャン戦略というのは、生物の進化並みのことを言ってるわけです。

上述の「破壊的技術への対応」とはつまり、「毒のあるイソギンチャクができた」→「イソギンチャクの毒に耐性のあるクラウンフィッシュ(ニモ)に進化して共生しよう」というのと同じようなことだ。

「違法ファイルシェア」=「毒ありイソギンチャク」、「iTunes」=「ニモ」みたいなもので、有料音楽ダウンロード販売というアイデアはあっても、「違法コピーされたらどうしよう」「違法コピーされたらどうするんだと言われたらどうしよう」「既存音楽業界との仕切りが」などといろいろ問題がある。それを乗り切っても、使いやすいソフトウェアでパッケージされたユーザエクスペリエンス(UX)を提供する技術力があるか、そもそも望ましいUXのなんたるかを理解できるセンスがあるか、という問題もある。さらに、そうしたこと全てがわかっている人がいても、社内で押し切る政治力まで行使できるかはまた別問題だ。
(省略)


ずっと前からなんですけど、この方、個人的には、チキリンよりもずっと面白いことを書いていると思ってます

で、今回のネタは、ブルーオーシャン。
ブルーオーシャンの本は、読んだことないので、何が書いてあるか知りません。なので、よその会社が到底まねできないような圧倒的な製品やサービスをつくりましょうよ、といったことが書いてあるのかもねと、雑なことしか思いつかないわけです。

で、まあ、それはいいとして、今回の、毒あるイソギンチャクの例とか、将来の大金を生むネタがあったとしても、社内政治で足を引っ張られる可能性があるという指摘は、ほんとうにそうそう!と、うなずいてしまう。

しかし、分析してよく思うのは、分析の依頼者は、データ分析すると、金も時間もなーーーんにもかからず、かつ、リスクもなく、かつ、依頼者(=上司)もすぐに納得できて、さらに上司の上司もすぐに納得できて、かつ、サプライズがあり、かつ売り上げがびっくりするほど伸びる素敵な何か?が、いとも簡単に出てくると、勝手に勘違いしてることなのである。

こういう人々を見るたびに、なんとなく思い出すのは、学生の時に勉強しなくてもいとも簡単に良い点を取る方法があると信じていたことだ。まあ、自分がそうだったので、あんまり悪しざまに言えないではあるが、訳が分からなくても答えにたどり着ける方法を、思えばよく探したものなのである。そして、渡辺さんが会ったであろうブルーオーシャン症候群のサラリーマンが、僕が日々目にするデータ分析症候群の方と重なるんですよね

たぶん、その本質は、中学生や高校生の時と変わってなくて、いかに安直においしい果実をいただくかってことなんですよね。でも、そんなメンタリティーだから、いつも売れている会社のマネばっかりすることになるわけだし、だとすると、ブルーオーシャンなんて遠い世界なわけで、ブルーオーシャンを安直に探し出したい人は、ブルーオーシャンなんて決して見つけられないはずなのです。ブルーオーシャンを探しているうちは、ブルーオーシャンは見つからない気がいたします

いずれにしても、会社で仕事ばかりしてると、ホントバカにしかならないので、気をつけなきゃいけませんということなのでございます。

2016-02-01

怒り出す

上司が怒り出す時がある。感情的に爆発しないまでも、部下の行動を、頭ごなしに強く非難したり、はたまた陰湿に無視する人がいる

すぐに思いつく理由は、約束を守らなかったとき。

期限をまもらない、求められた品質を守れない、といった場合。まあ、約束を守らない部下がわるいので、怒られても仕方ない。だけど、上司が部下をコントロールしなかったから、期限や品質を守れなかったとも考えられる。人間、立場が上がり、年を取ると、自省の念など、どこか遠くに追いやってしまうのでたちが悪い

さらに、もう一つ思いつく理由は、上司が、内容を理解できなかったときだ

どんなに頑張って説明しても、上司が、内容を、全く理解できない時がある。まあ、上司が、部下の業務を隅々まで理解することは、到底不可能だから仕方ない。でも、自分が、物事を理解できないからと言って、新しい試みや、それなりに成功した結果報告を、頭ごなしに批判したり、的外れに怒ったりする必要はないはず、と思うわけ

で、個人的には、後者の場面に遭遇することが、たびたびあるのだが、そのたびに、なんでこんな理不尽な目に合わなきゃいけないんだとよく思っていた。

で、何となく、最近、思ったのが、もはや、自分が関わる分野では、上司が理づめ・合理的に首を突っ込むことができなくなってしまったためではないか?ということなのです

正直なところ、後者の場面では、上司に怒られようが、非難されようが、そんなことは無視して業務を進めてしまう。なぜなら、言ってることが的外れすぎて、まともに指摘を受け入れると、その業務自体が失敗してしまうから。だからと言って、上司の言う通りにして失敗しましたは通用するわけない。そもそも、こういう上司は、自分が何を言っているかすらよくわかっていないことが多い。だから、上司の指摘を、ハイハイと聞いておいて、使えそうなアイデアだけ、ちょっと取り入れておく、といった感じでお茶を濁す

たぶん、上司は、威厳を保ちたいのだと思う
だから、上手く理解できないと怒ってしまうのだ。
さらに、怒る度胸すらない時は、無視してしまう。
怒るとは、自分が正しいという自信がないとできないものだ。理解できない自分が正しい確信すら持てないと無視してしまう。

単純なことを言うと知っていると言い、知らないことを言うと理解できなと言う。自分の能力を棚に上げ、他人のせいにして怒る。

なんだがバカバカしいなあと思うのですが、自分がそうならないように気をつけるだけなのです